「オルトロスの犬」6回目を見ました。
前回。竜崎(滝沢秀明)は神の手の力をアピールすべく、ガンで余命いくばくの人気歌手レイ(平原綾香)を助け(たくさんの患者が見守る病院のロビーでミニコンサート中のレイを治した)、一方、碧井(錦戸亮)は「自分が正しいと思う方法で」自らの悪魔の手の力を使うことを決意し、その初の対象に熊切勝(八乙女光)を選びました(とはいえ、本当に死んだかどうかははっきりしないのだけど)。
相反する二つの力が、よからぬ方向へ利用されつつある裏には、どちらも警察庁警備企画課(日本のCIA)の理事官・沢村(佐々木蔵之助)の思惑が働いています。
沢村にとって竜崎は「人々を私利私欲に走らせる人騒がせな力」の持ち主なだけで、国家の安定を守る上では単に目障り。そこで、「レイの復活!」も理由が竜崎の力にあったことを伏せるよう、マスコミ各社に圧力をかけます。
一方、碧井の力は沢村にとって目障りな存在を消すのにうってつけですから、沢村は碧井を操り、彼の正義感と怒りをうまくコントロールしながら悪魔の力を利用しようとします。
最初のターゲットを思い通りに消し、次は勝の父、熊切善三(柴俊夫)を狙います。善三は竜崎から「勝は殺された。沢村の指示だ」と聞かされ、沢村に攻撃をしかけようとしています。そのために自分が長年、不正献金を行った、ある意味ビジネスパートナーであり、今は沢村とつるんでいる厚生大臣・榊遥子(高畑淳子)の悪事を公表し、沢村の力を無力化しようと動き出すのです。
沢村はもちろん善三の目論見に勘付き、碧井をけしかけます。
そんな中、渚(水川あさみ)は急遽、異動を申し付けられます。異動先は沢村の部署で、しかも任務は竜崎の警護。藁にもすがる人の思いをもてあそぶ竜崎の行動に日ごろから反発しつつ、でも竜崎なら愛娘の病を治してくれるという期待を心にくすぶらせている渚の思いは複雑です。
熊切善三が不正献金の事実を公表する記者会見を行うその日、マスコミは朝から大騒ぎです。竜崎もテレビの報道をぼんやり眺めていると、碧井から電話。「俺の力をどう使うか、知りたければ記者会見場に来い」
碧井の宣言に竜崎は反応。会見場に向かいます。が、車に乗り込んだところを黒ずくめのマスク男に拳銃を突きつけられます。警護の渚は別の車であとを追いますが、マスク男の銃の構えに見覚えがあり、心をざわつかせています。
男の指示でたどり着いたのは普通の民家。中に入ると中年女性がベッドの上でぬいぐるみと遊んでいました。マスク男はその女性が自分の妻で、痴呆症で夫のことまで分からない状況だと説明し、「妻を治せ!」と竜崎を脅します。竜崎は慌てるそぶりも見せず、追いついた渚に「刑事さん、どうすればいい?」と苦笑い。
渚はマスク男に拳銃を向け、「拳銃をおろして、柴田さん!」と叫びます。男は渚の上司で、まもなく定年を迎える柴田刑事。渚が新入りの頃から世話になった先輩でした。
柴田は竜崎がレイを治した現場で、神の手の力を目撃し、「この男なら妻を治せる」と犯行を思いつきました。家のことをずっと任せていた妻に、定年退職したら恩返しをしようと思っていた矢先の発病に、柴田は追い詰められていたのです。
竜崎は渚に「この女性を治すかどうか、おまえが決めろ」と迫ります。柴田は「ならば話は早い」と喜びますが、渚は「大事な人を守るためとはいえ、犯罪を許すわけにはいかない」と、柴田に計画を諦めるよう説得します。その押し問答のなか、追ってきた竜崎のボディガードが発砲、柴田は瀕死の傷を負います。
薄れる意識の中、柴田は「俺はいいから妻を...竜崎に治してもらってくれ」......「...妻は治ったか?」と渚に問います。渚が泣きながら、「奥さん治ったわ...」とウソをつくと柴田は安心した表情で息を引き取ります。
非難の目で竜崎をにらみつける渚ですが、竜崎に「俺の力を使えば幸せになれたのか?」「幸せって何だ?」と問いかけられ、わからなくなります。
老刑事は思い通り妻を治してもらって、あとの人生を竜崎を拉致した罪で牢獄で過ごすのが幸せなのか? 妻は痴呆が治って、夫が犯罪者になった現実に立ち向かうことを幸せに思えるのか? そして渚は、信頼する先輩の罪に加担したことを正しいことだったと納得できるのか?
タッキーの演技力はさておき、竜崎の投げかける問いはいつも深く複雑です。