ヴォイス 命なき者の声 第3回 2009/01/26放送分  

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 佐川の研究室にタクシーの後部座席で突然死した若い女性の遺体が運び込まれる。玲子(矢田亜希子)は「クラッシュシンドロームかも」と一言。クラッシュシンドローム=挫滅症候群は身体の一部が一時圧迫され、それが開放された後に身体に現れる様々な影響を言う。1995年の阪神・淡路大震災で多くの人が亡くなったことから医療の現場でも注目されるようになったのだ。

 玲子は診断の根拠として、遺体の脚についたアザを指し示すが、それを見たアキ(石原さとみ)が息を呑む。アキの様子がおかしいので大己(瑛太)と亮介(生田斗真)が「どーしたのっ!」と声をかけると、アキは自分の母親の脚にも同じようなアザがあったと話しはじめる。

 アキの母は15年前に心不全で亡くなったことになってるのだが、アキは遺体についたアザにずっと納得できなかった。タイムカードを押したらすぐに帰宅する母が、亡くなった日に限って会社に残ってたのも気になった。でも大人は誰も取り合ってくれなかった。母の死には別の理由があるんじゃないか...ずっと気になってた。この話を聞いた大己は「じゃあ行こう。今からでも調べられるよ」とアキの地元まで。

 母・雪子(片平なぎさ)は当時勤めていた工場の事務机で突っ伏した姿勢で亡くなっていた。工場に行くと15年前も働いていたジンさん(平泉成)が「やあ、佳奈子ちゃんか!」と覚えていてくれた。雪子のことも覚えていて、当時のことを少しずつ話してくれる。しかし、死因につながるような情報は得られなかった。

 アキと大己はジンさんが「当時工場にいたよ」と教えてくれた八木さん(勝村政信)という男のところへも話を聞きに行く。しかし八木は「担当が違ったから接点もなかったなぁ」と言うばかり。

 アキは工場にあった母の軍手を持って「手がかりがあるかも」と先に帰るが、大己はいつもどおり「気になることがある」とどっかに行ってしまう。バスは2時間に1本。「終バス乗り遅れないようにね~」とアキに言われるのだが...。

 雪子は生前、パイプ椅子の製造作業に関わっていた。大己が注目したのは雪子が亡くなった日に納品されたパイプ椅子。納品先に赴いて、1脚ずつ座り心地を試してみたりして「直感」が降りてくるのを待っていたら案の定、終バスを逃してしまう。

 研究室に戻ったアキは蕪木さん(泉谷しげる)に軍手に付着した成分の検査を頼むのだが、羽井くん(佐藤智仁)と哲平(遠藤雄弥)のせいで蕪木の作業が大幅に遅れるという小さな事件があって、それどころじゃない!と断られてしまう。しかし、亮介が仲間のミスをフォローし、「アキは15年も死因が判明するのを待ってたんだよな」と話しているのを聞いて蕪木は情にほだされ、徹夜して検査をしてくれる。

 翌朝、アキは蕪木が寝る間を惜しんで作業してくれた検査結果を大己に報告する。「軍手にはシールの粘着面の成分がついてたみたい」と電話口で聞き、大己はひらめく。そして「今すぐこっちにおいで!」とだけ言って電話を切る。

 大己は到着したアキを連れて八木さんを再訪する。「雪子さんが亡くなった日、雪子さんと残業してたんじゃ?」と切り出す大己。推理は的中していた。八木はあの日の記憶を吐き出す。

 雪子が亡くなった日、八木はパイプ椅子の納品を抱えていた。タイムカードを押して帰り支度をしていた雪子は目の前でトラックにパイプ椅子を積み込む八木を見て「それじゃだめじゃない」と注意した。椅子に貼る検品シールが規格の古いものだったのだ。「今回はこのままで」「ダメよ。手伝うから一緒にやりましょう!」と雪子は微笑んだ。曲がったことが大嫌い、いつも仲間を引っ張ってくれる太陽みたいな人だったのだ。

 雪子が手伝ってくれたおかげで納品は間に合った。納品を終えて八木が工場に戻ると、まだ電気がついていた。「雪子さんまだいるのかな?」とのぞき込むと雪子が資材に下敷きになって倒れてるではないか! 必死で助け出すと「あ...ごめんごめん。急に倒れてきちゃって」と雪子は意識を取り戻す。心配で「送って行きます」と八木は申し出るが雪子は「新婚なんだし早く帰りなさい!私は大丈夫よ」とまた笑ってくれた。

 しかし翌日出勤してみると「雪子が死んだ」と。疲れているのに残業をさせたからだ... 送っていたらこんなことには... いろんなことが怖くなり、八木は15年口をつぐんでいたのだ。

 話を聞き終えたアキは「もっと早く話してほしかった」と言いながらも、「クラッシュ症候群と死因が解明できたのはよかった」と八木を責めることはしなかった。佐川(時任三郎)がアキに言ったように、クラッシュ症候群は「助けなきゃ!」というやさしい思いが引き起こす症例だ。15年前にはこの症例はまだ知られていなかったから、八木は雪子を助けたいと思っていたのにそれが裏目にでただけなのだから。

 帰る前にジンさんに死因の報告をしに工場へ。そこで大己はアキに1冊のアルバムを見せる。それは工器の陰に隠されていた。「雪子さんは仕事中にこれを見てたんだね」 アキが開いてみると中にはアキの遠足や運動会の写真がたくさん収まっていた。忙しく働いていても、母の心にはいつもアキがいた。15年ぶりに母の愛に触れ、アキは喜びの涙を流すのだった。