キイナ 不可能犯罪捜査官 第1回 2009/01/21放送分 

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 キャリアながら凶悪犯罪を扱う捜査一課を志願した新人刑事・山崎尊(タケル)(平岡祐太)が、スーツまで新調して張り切って出かけた初現場はおかしな状況だった。女性が頭から血を流して死亡。他殺?はまあいいとして、現場におびただしい数の魚(一部まだ生きている)が散乱しているのだ。何事?

 しかもタケルはここでおかしな女と対面する。春瀬キイナ(菅野美穂)。捜査一課の刑事なんだが、現場にスーツケース転がしてくるのがまずおかしい(有給取って彼氏と旅行のはずがドタキャンされてここに来たんだけど)。ピチピチ跳ねる魚を見て、「竜巻で巻き上げられたんですね」と謎をあっという間に解明したのは素晴らしいが、「女性の死因とは無関係」と被害者が自殺だという自説をスルスル説明され、タケルは「何を根拠に?」とまったく信用していない。だって、現場について5分くらいしか経ってないんだよ?ちゃんと調べたの?

 しかし。捜査本部に戻ってびっくり。キイナの仮説は当たってた。女性は首を吊ろうと木に登ったところ、おそらく魚が降ってきたのに驚いて落下、頭を石にぶつけてなくなったと、現場検証と検死の結果ほぼ断定できたのだ。

「そういえば...」とタケルは思い出す。キイナは現場についてあっという間に、女性の指輪から名前を導きだし、彼女の涙の痕も見逃さず、おまけに「スーツの裏ポケットからメモを出すときに見えた」とタケルを名前で呼んでいたっけ。相当の観察眼だ。

 タケルが管理官・御手洗(草刈正雄)に就任の挨拶をすると、「じゃ、ベッパンで」と部署を指示される。特別班。「難解な事件を扱う部署」と聞いて一瞬色めきたつが、「キイナひとりの部署だから」と補足されてげんなり。あんな変わり者が上司~!?

 早速ベッパンに持ち込まれたのは、殺人を目撃したという女性・幸田絢香さん(白石美帆)の訴え。普通の事件じゃん、と思ったら大間違い。彼女は夢で殺人を目撃したのだ。さらに自分では聞いたことのない「パラッチョ」という言葉を口にするようになったり、知らないアニメソングを口ずさむようになったりした、という。キイナは前のめりだがタケルどん引き。

 絢香さんがその夢をくり返し見るようになったのは心臓の移植手術を受けてから。「心臓の訴えを聞いてあげて。この心臓を救ってあげて」というのが絢香さんの望み。キイナは絢香が夢で見たという特徴のある風景のスケッチを手がかりにねばり強く捜査をし、ある日、絢香さんと一緒に出かけた郊外の街にスケッチ通りの公園に行き当たる。

 と、絢香はそこで砂遊びをしてた子供に吸い寄せられるように近づき突然じゃんけん。え? と見ているとふたりは示し合わせたように「パラッチョ!」と声を上げながら、パーとチョキが合体したような形にした指を差し出しあう。どういうこと?

 一緒にいたお父さんによく話を聞くと、絢香の心臓はこの子・勇太くんの母親・静子さんから移植されたものだったとわかる。静子さんは病気を苦に飛び降り自殺を図ったそうだ。タケルは「だからなに?」という感じだが、キイナはなにかしっくり来ないとさらに捜査を続け、執刀した超有名な心臓血管外科医・鷺沼(勝村政伸)にまで話を聞きにいくことに。

「幸田さんはまだそんな話をしてるんですか」と表情を曇らせる鷺沼教授。キイナが「心臓に心ってありますか?」と訊ねると「ありません」ときっぱり。医学的には移植した心臓がドナーの記憶を覚えているわけがないと明言するのだ。そりゃそうだろう、と視聴者もまあ納得。しかしキイナは全然腑に落ちない。

 そこでキイナは同僚の遠藤桜(小池栄子)とタケルに心臓や解剖学に関するありとあらゆる本を集めさせ、山積みのその本たちを前に深呼吸するや、一気にページをめくり始めた。「何やってるんですか?」と問うタケルに桜は「速読。あれで全部頭に入ってるの」と。タケルびっくり! そして数時間後、キイナは「見つけた」とひと言呟き、その場でスヤスヤ眠り込んでしまう。相当脳みそを使ったんだ。

 キイナが見つけたのは過去の研究で、普通は脳内に見つかる記憶に関わる物質が稀に心臓の組織に見つかることがあると発見された事例。心臓に心はある、のだ。すごい! と思いきや捜査一課係長の雅(沢村一樹)は「そんなことじゃ何の証拠にもならない」と一刀両断。捜査は振り出しに戻ってしまった。

 静子さんの自殺にはおかしなところがあった。遺留品に本人以外の血痕があり、その主が静子さんを病室から突き落としたという可能性が浮上した。まず疑われたのは鷺沼だった。が、証拠の血痕の血液型はAだが、鷺沼の血液型は雅の目の前で採血を受けた結果B型で嫌疑が晴れたのだ。しかし...

 キイナは鷺沼の部屋の片付きっぷり、メモの几帳面さ、コーヒーを一口飲むたびにテーブルを拭くしぐさなどから「あれはA型のはずっ!」と決め付ける。刑事が血液型占いで推理していいのか? いや、あとでわかることだが血液型占いは「統計」の一種だからいいんである、というのが彼女のスタンス。

 でもって、キイナは持ち前の諦めない粘り腰で捜査を進め、ついには科捜研のエリート技官で元カレ・工藤真一郎(骨折した脚が痛々しい塚地武雅!)のところまで行って血痕を調べ直してもらう。が、結果は同じ。しかし真一郎は「鷺沼教授はなぜ採血をしたの?」とキイナに問う。曰く、今や髪の毛の鑑定でも血液型が簡単にわかるのに古臭い採血という方法をとったのがとても不思議、と。

「!!」キイナは髪の毛をエレファントカシマシの宮本浩次並にくしゃくしゃにしてひらめいた。採血という方法に「何か」が隠されてるに違いない! そしてついに「他人の血液を入れたチューブを腕に埋め込む手術をして、罪を逃れた外科医がいた」という記述をまたまた膨大な本から見つけ出す。

「あなたが静子さんを突き落としたんですね」。キイナは鷺沼に詰め寄る。「どこに証拠が?」と問う鷺沼の顔をキイナはいきなりパンチ! で、鼻血をハンカチで押さえると「ここです」とニッコリ。バレてしまったと慌てた鷺沼が反撃に出た時点でキイナの粘り勝ちは決まった。「逮捕すれば、私の手術で救える命を見放すことになる!」と鷺沼は騒ぐが、キイナにとってこれから助かる命と静子さんの命は等しく大切なのだ。

 静子さんは珍しい血液型をもった患者だった。そして鷺沼は珍しい血液型をもつ患者の心臓移植の権威だった。静子さんの命を奪ってでも自分の業績を増やしたかった、というのが鷺沼が静子さんを殺した動機。なんと身勝手な。

 事件の相談に来た絢香は、鷺沼の逮捕でもう悪夢を見ることがなくなった。静子さんの夫は「あいつが自殺じゃなかったとわかってよかった」と涙を流した。キイナのおかげで一件落着。タケルだけだったらこんなおかしな事件、真剣に取り合わなかっただろう。キイナはこう見えて優秀な刑事なのかもしれないぞ。