ヴォイス 命なき者の声 第2回 2009/01/19放送分  

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 大己(瑛太)の研究室に佐野(坂田聡)という男性の遺体が運び込まれる。静かな住宅街でこの男性は倒れており、傍らにコンビニで買った生卵のパックが落ちていた。事件性のない心臓発作だろうと刑事の大和田(山崎樹範)は予想しているが、佐野さんの妻・忍(鶴田真由)は「体の丈夫な夫の急死は考えられない」と沈んでいる。「それに料理をしない夫がなぜ生卵を?」も謎。

 佐川(時任三郎)と玲子(矢田亜希子)による解剖で左手の指先に感電の痕が見つかった。「住宅地で感電って?」と疑問に思った大己は仲間を引き連れて現場へ向かうが、感電の原因になりそうなものは見あたらない。

 研究室に戻ってみると、その後の分析で感電したのは自宅だったことが判明する。つまり佐野さんは自宅で感電し、心臓に障害を負い朦朧とするなか、何か大切な目的があってコンビニまで生卵を買いにいき、家に帰る前に息絶えてしまった。一体何が佐野さんをそこまで必死にさせたのか?

 法医学者なら「死因は感電による心臓麻痺」で一件落着するとこだが、大己は「それだけじゃ遺族の気持ちは収まらない。佐野さんが最後に何を思っていたのか解明しなきゃ」と忍のマンションへ話を聞きにいく。

 佐野さんはアメフトの選手だった。膝のケガでリハビリをしていたときに看護士をする忍さんと出会ったのだ。思うようにケガが治らず引退を決めてからは家に籠もりゲームばかり。「抜け殻のようでした。それでつい、夫にきついことを言った。夫は私を恨んで死んだはず...」と忍。台所に結婚指輪が置かれていたのは「家を出る」というサインに違いない、と言うのだが。

 大己が佐野さんのアメフト仲間に会ったり推理に走っている間に、アキ(石原さとみ)は蕪木(泉谷しげる)の手を借りてあるものを検査していた。アキは蕪木から「ただじゃやらない」とお気に入りのテクノユニットのライヴチケットを要求されたりして。

 調べてもらったのは佐野さんの爪の間から採取した白い粉末の成分だった。結果は「牛乳」とあまり衝撃的なものではないように思われた...が、大己の頭の中ではこれですべてがつながった。そして再び忍さんのところへ(また裏付けしないで行きやがった...)。

 リビングで大己がまず調べたのはビデオデッキ。そこには「クレイマークレイマー」のビデオが入っていた。佐野さんと忍はともに映画好きで入院中からよくこのビデオを一緒に見てたのだ。口べたで黙々とポジションをこなす佐野さんはこの映画を見ると周囲をはばからず大泣きしていたという。

「クレイマークレイマー」はある夫婦の離婚を巡る映画だが、その中で主人公の男性(ダスティン・ホフマン)が妻への「やり直そう」というサインとして慣れない台所に立ちフレンチトースト(このレシピおいしそう)を作るシーンがある。

 大己の推理はこう。佐野さんは「私たちの結婚ってなんだったの?」と忍さんに問いかけられ、この映画を見ながら二人のことを考えたのだろう(この時点で感電しちゃうのだけど)。そして「これからも二人で!」という意思表示として台所に立った。慣れない料理をするためにとりあえず指輪を外し(つまり離婚の意思ではまったくなかった)、意識が混濁するなかとりあえずパンを牛乳に浸した。で、ここで冷蔵庫に卵がないことに気づき買い物に出て、その途中で倒れてしまった、と。

 しかも大己は佐野さんの知人から「あいつ再就職の面接が決まってたみたい」という話も聞いていた。佐野さんは照れからか奥さんには内緒で、ひとり黙々と二人の将来のために進んでいたのだ。

 大己の話をにわかには信じられない忍だが、亮介が冷蔵庫から牛乳の入ったボウルに浸されたパンを発見してようやく、夫が自分を思いながら死んだことを理解する。

 大己たちが帰ったあと、忍は夫が作りかけたフレンチトーストを仕上げ、「いただきます」と丁寧にあいさつしてから口に運ぶ。夫が自分のために作ってくれた最初で最後の味に涙がこみ上げてくる。