風のガーデン 第10回 2008/12/11放送分 

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 先に逝った二神(奥田瑛二)が夜な夜な夢に現れて「こっちに来なよ」と呼びかけてくることが多くなった。痛みも頻繁に、そして激しくなっていて、貞美(中井貴一)に死が近づいているのは明らかだ。

 そんな中、貞三さん(緒形拳)は息子の最期をいかに飾れるかをああでもないこうでもないと考えている。ある朝ルイ(黒木メイサ)に自分のプランを話す――貞美を家に呼び戻し、岳くん(神木隆之介)の部屋で療養させる。幼い頃を過ごした部屋が一番安らぐだろうから。そして、貞美を天使だと思いこんでる岳くんにガブさんの死に立ち会わせるのはあまりにも酷だからして、「急ぎで人手がいる」とゆかりに芝居をうってもらって上原ファームにしばらく預かってもらう――。

 ルイも父のために何かできないかと考えている。おじいちゃんが、父の夢は「花嫁姿のルイとバージンロードを歩きたい」と聞くが、結婚なんて考えてもいない。が、ある昼下がり、貞美を心配してトレーラーハウスの様子を見に来ていたエリカ(石田えり)と鉢合わせしたルイは「結婚したふりすりゃいいじゃん」という、エリカらしい浅はかな提案に乗ってみることにする。

 偽装結婚の相手はルイにとっちゃ甚だ不本意だけど修(平野勇樹)ぐらいしか浮かばない。エリカと一緒に相談しに行くと、修は「やっぱホレたな」とか「偽装って...初夜も入るか?」とかくだらなく盛り上がる。ルイは「無理!」と怒って帰りそうになるが、エリカが貞美の病状のことをきちんと説明するとさすがの修も真面目になって「わかった」と請け負ってくれることになる。

 ルイから話を聞いた貞三は最初だけ、「そんな茶番!」と拒絶反応を示したが、ルイの話を聞くうちに「せっかくやるなら徹底的にやりましょう!」とノリノリになる。で、式は9月3日の大安の日、場所は風のガーデンと決まる。

 そうと決まったらあとは行動!と、貞三は早速貞美のもとへ。神妙な顔つきで「実は...」とルイの結婚のことを話す。で、「ルイの夢だったから」とガーデンにこしらえるバージンロードを腕を組んで歩いてほしいと頼む。貞美も大まじめで「やらせてもらいます」と応えるが、実のところそれが貞三とルイが自分を喜ばせようと仕組んだ茶番だと見抜いていた。

 貞美にとって辛かったのは、貞三から「岳は上原ファームの手伝いでしばらく旭川に行く」と聞かされたこと。「ガブさんとして岳とさりげなく別れてほしい」と頼まれてしまったからだ。ここでの別れはつまり、岳と会えるのがこれが最後ということだもの。

 ルイのドレスをエリカが手配していると聞き、貞美は街へ。エリカに自分のタキシードも調達してもらおうと思ったからだ。理髪店の店先で話していると、ラジオから聞き覚えのある歌声。茜(平原綾香)が貞美に捧げると言って作った「カンパニュラの恋」だった。「知ってるか、この曲?」とエリカに問うと「うん。今大ブレイク中」と教えてくれた。すごい、本当にヒットしたんだな。貞美はうれしくなった。

 そして、別れがくる。貞美がガーデンに赴くと、不機嫌そうに花を手入れする岳くんがいた。「どうしました?」と声をかけると「大人の勝手な事情で旭川に行くことになりました」と興奮している。「奇遇ですね。私も天国に帰ることになりました」 貞美がこう言うと、岳は急に慌てだし、おばあちゃんに、おかあさんに、と花を切り、「それからそれから......それから...」とすっかりパニックになって走り出す。

 混乱状態の岳くんを貞美は追いかけ、体ごと息子を引き倒し「大丈夫!大丈夫だからっ!」と強く強く抱き寄せる。逃げようともがく岳だが、ガブさんのぬくもりに触れ落ち着きを取り戻す。もしかしたら、そのぬくもりが父のものだと、直感的に気づいたのかもしれない。

 岳のパニックが収まると、貞美は「あの曲を弾いてくれませんか?」と岳に頼む。「わかりました」と立ち上がった岳の後ろ姿を、愛おしげに見送る貞美。これが、本当に息子との別れになってしまうのだ。岳の奏でる「乙女の祈り」を聞きながら、貞美は涙が止まらない。

 ゆかりとルイが岳を迎えにガーデンに来る。このまま旭川に発つのだ。ガーデンを去るとき、岳は「ガブさん!」と貞美を探すが姿は見えない。しかし、岳を乗せて車がガーデン脇の道を行くと、木陰にガブさんの姿。天使はおどけて、岳にバイバイをした。

 そして9月3日がやってきた。貞美のトレーラーには水木(布施博)が来て、長い時間麻酔が効くような処置をしてくれた。今日は花嫁姿のルイの隣に立つのだ。痛みになんか邪魔されたくないのだ。