風のガーデン 第8回 2008/11/27放送分 

|

 大天使ガブリエル=貞美(中井貴一)がガーデンに来なくなったのはルイ(黒木メイサ)が挨拶をしなかったせいだと怒っている岳(神木隆之介)に、「明日、ガブリエル天使がガーデンに来るような気がする」とルイ。実は父さんとルイが再会して和解してたなんてこと思いもしない岳は、半信半疑ながら翌朝早くガーデンに。

「ガブリエルさん!」 呼びかけても返事がなく、がっかりしながら岳は作業を始める。ルイが好きなエゾエンゴサクの球根を探して、それを集めて植え直し、春に咲かせたいと思っているのだ。

 そこへガブが登場。「怒っていらっしゃるかと思って」と恐縮する岳に「そんなことありません」とガブは微笑み、不器用ながら球根探しを手伝う。と、貞美の携帯に着信。水木(布施博)からで緊急オペを手伝ってほしいというのだ。体力的な不安を抱えながらも友人の頼みは断れない。それより、岳くんは「今の電話は神様からですかっ!? 神様が携帯を!」と驚いている。貞美は面白がって「ヘブン・コールっていうんです」とかウソばっかり。

 緊急オペ。貞美は美しい手際で処置を終え、「有名な先生にこんなお願いははばかられますが、できればまたお手伝いをお願いしたい」と信頼を背負ってしまう。そんな場合じゃないんだけど。

 病院からの帰り道、闘病で衰弱した体にオペはやはりきつかったようで、貞美は猛烈な睡魔に襲われる。ラジオから流れる「ガッツだぜ!」「リンダリンダ」に合わせて大声で歌ったりしてなんとか近所の農道までたどり着き、仮眠。目が覚めると薬が切れていて強烈な痛みに襲われる。

 這うようにしてトレーラーに帰り、すぐに麻薬パッチで対処する。病状はどんどん悪化しているのだ。暗い思いにとらわれていると、車のドアをノックする音。窓から伺うとルイとさゆり(森上千絵)がいた。息を整え車内に迎え入れる。「病室みたいね~」とさゆりは言うが、まさか貞美が自分の治療をしているとは思いも寄らない。

 ここにきたのは、貞美が富良野に帰っていることを貞三(緒形拳)に伝えなくていいものか、ルイが心を痛めているからだとさゆりは言う。「私があいだに入ろうか?」とも言ってくれるが貞美は「自分でなんとかするよ」と答える。

 そこへ、蜂屋の修(平野勇樹)があわただしくノックしてくる。「ルイ、いるんだろ!」と何やら慌てているのでルイが表にでると、「ガブリエルってやっぱりお前のオトコだな!」と大勘違い(でも当人は真剣)。貞美が顔を見せると「俺はルイの婚約者だ!」と威勢良く名乗るが「私はルイの父親です」と答える貞美におののいて逃げてってしまう。

 そんななか、エリカ(石田えり)の声かけで貞美の歓迎会が開かれる。店の前で待っていると全身黒ずくめのエリカが現れ、「会場まで歩いてすぐだから」とスタスタ歩き始める。

 着いたのは同級生が跡を継いだ寺。入り口には葬儀の受付があり、エリカが渡す香典を同級生が恭しく受け取って頭を下げている。「誰かの葬儀?」何も知らされていない貞美は白い服だし、香典もなく「おい待てよ!」と先を行くエリカの後を追うしかない。

 本殿に入ってみると趣向が分かった。今日は貞美の生前葬という設定なのだ。司会進行役は「仏は笑わない、喋らない!」と貞美に厳しい。お経もそこそこに参列者からの弔辞が発表される。どれもこれも、昔の貞美のスケベさとマヌケさを面白おかしく語ったものでみんな大笑い。最後、仏から挨拶となるが、大笑いしながらも「ずっと離れていたがふるさと温かさがありがたい」と貞美は感謝の涙が止まらない。近づく死を仲間に伝えられないもどかしさもあるのだろう。

 さて白鳥医院。貞三が忙しい1日を終え回診から帰ると、玄関口で「先生!」と呼び止められる。富良野の病院のナース(須藤理彩)で「先日、若先生の手術に立ち会ったんです。見事なお手捌きでしたよ!」と。貞美が手伝った手術に立ち会った看護士だったのだ。

 貞美が富良野に...! 思わぬ事実に貞三はルイの部屋に直行し、「おじいちゃんに隠し事がありますね? お父さんのことです」と問いつめる。曖昧に応えるルイに業を煮やした貞三は、こんな話を始める。

 貞美をルイと岳から離したのはあいつに子育てをする資格がないと思ったから。しかし、子どもたちが父親に会いたい気持ちも父親が子どもに会いたい気持ちもわかる。なぜなら、私も貞美に会いたいと思うから。「富良野に帰ってくるな」と宣言したことを自分の心が狭かったことを夜になると後悔することがある。このままでは自分は、息子を許さずに先に逝くだろう。それは幸せではない...。
 祖父の後悔を知ったルイが、貞美は富良野に、それもガーデンのすぐそばに帰ってきていることを伝えると、貞三はすぐに車を走らせる。ルイに聞いたとおりの場所に、聞いたとおりのトレーラーが停まっていた。期待と不安に包まれながら車のドアを開け、散乱した靴をまたいで中へ。

 奥のベッドに、焦がれた息子が寝ていた。「やっと会えた!」という喜びもつかの間、貞三は貞美の手に刺さった点滴に気づく、暗闇の中、懐中電灯で部屋をよくよく照らしてみると、車内が病室のよう。しかもベッド脇の作業台には思いもしないものがあった。がん疼痛用麻薬パッチ...... そして「水木クリニック」と書かれた封筒の中にはレントゲン写真があり......

 医師である貞三にはもう、息子が末期がんとわかってしまった。会いたい、和解したい、という思いで来たのに、再会した息子がまもなく二度と会えないところへ逝ってしまうと知らされるとは...貞三はどうしていいかわからず、貞美が目を覚まさないうちにと、トレーラーを出て家へと向かうのだった。