高林医大病院に「二神(奥田瑛二)に会わせてくれ」と検事がやってくる。院長(小野武彦)の指示で担当医として同席した貞美(中井貴一)は「二神氏のガンは一番悪化したステージ4B。おまけにガンの転移も進んでおり心理的なダメージは病状を悪化させる」として面会を許可しない方針を貫く。
「対応をありがとう」、部屋に立ち寄った院長は貞美に礼を言いながら、「ところで...」と教授昇進の話をもちかける。しかし貞美は「内山のほうが適任」と今は地方にいる同僚を推す。「例の件があるからか?」と院長は探るような目線を貞美に向ける。そして「内山夫人とはまだ...?」と立ち入った問いかけをするのだ。「いえ、それは6年前に清算ずみです」「っていうと君の奥さんの事件の時か...」
貞美の回想にくり返し現れるのは、妻が富良野で駅のホームから飛び込み自殺を図ったことを、姉・冬美(木内みどり)が貞美の家に知らせに来たシーンだった。呼び鈴を何度も押され、ドアをドンドンと叩かれて渋々ドアを開けて知らされた突然の訃報に愕然とする貞美。その時貞美は妻以外の女とベッドを共にしていた。それが内山夫人だったのだ。
しかも内山夫人・妙子(伊藤蘭)は毎日顔をつき合わせて働く看護士長で、近々看護部長にご昇進の予定というなんだか複雑な事情もある。その妙子が「伝言ですよ」とメモを届けにきた。メモは富良野に住む親戚・ゆかりからの呼び出しだった。
久々に会ったゆかりは、「ルイは不倫中よ。血は争えないわね、おじ様」と知りたくもない近況までズケズケと報告し終えると「ルイに会う気はないの?」と切り出す。貞三(緒形拳)のいる富良野では会いにくいだろうけど、近々札幌でよさこいソーラン祭りがあって、ルイもゆかりも同じダンスチームでそれに出場する予定だから、「その時チャンスを作るわ!」と。
回診に来た貞美を二神が引き止める。「先生がいくらウソをつこうとわかってる。オレはあとどれくらい持つ?」 あまりの鬼気迫る表情に貞美も折れる。しかし「どれくらい持つかは病気に聞かないとわかりません」と返すことしかできない。二神は「死は覚悟している。延命治療はいらないし、痛みで苦しむ前に頼むな」と貞美に命を預ける。そして、「病院では死にたくないからトレーラーハウスを手配してる。そこに最低限の医療機器を設置したいからリストを作ってほしい」と貞美に頼む。
一人マンションに帰る貞美。妻の通夜に富良野に帰ったことを思い出す。貞三は、岳という子がいながら家庭の問題から目を背け、忙しさを理由に妻の苦労に耳を傾けず現実から逃げ続けた貞美を激しくなじった。「命と向き合うことから逃げるようなやつは、父である資格も、オレの息子である資格も、医者である資格もない!」と勘当されたのだ。
そして襲ってくる痛み...必死で麻薬パッチを張り、痛みを抑える。と、そこに妙子がやってくる。最近、疲れのせいか痩せて見える貞美を心配してやってきたのだが、妙子はゴミ箱に麻薬パッチの包装を見つけ、貞美の体に何かが起こっていることに気づく。
貞美は二神の娘・香苗(国仲涼子)にも「ガンを摘出したというのはウソだったんですね」と詰め寄られる。もう隠す必要もないと真実を話し、これからもウソはつかないと約束する。香苗は「父はひとりぼっち。娘が側にいたいと言っても受け入れてくれないし...」と涙をためる。その横顔に貞美はルイの姿を重ねていた。自分にもこんなに思ってくれる人がいてくれたら...
そして貞美は札幌行きを決める。水木(布施博)に痛み止めの施術をしてもらうのを自分への言い訳にしているが、二神と香苗親子の姿を見るうち、どうしてもルイの顔が見たくなったのだ。