貞美(中井貴一)は学会で札幌へ。茜(平原綾香)も一緒、とはいえ部屋は別々でチューもおでこまで。ではなぜ連れてきた??
実のところ貞美の一番の目的は札幌に住む医者で親友の水木(布施博)に会うことだった。学会で久々に会った水木を「後でちょっと話が」と自室に招く貞美。取り出したのはエコーの画像だ。「どう思う?」「相当ひどいなぁ」と診断する水木に「実はそれ、俺なんだ」と。驚いた水木は早速自分の病院でMRIの手配をし、貞美を検査する。
結果はフェーズ4Bのすい臓癌。もう手術での切除は無理なところまで進行していた。「そんなに進んじまったか...」と急におじいさんのような口調で肩を落とす貞美に、水木は麻薬パッチを処方。検査医からは「東京に知り合いの医者がいますから」とすすめられ、貞美は化学療法を受けることになる。
貞美は自分の病状をどうしても勤め先に知られたくない。痛み止めも自分でこっそり処方箋を書き、院外薬局で出してもらっていた。これからは我が身に迫る死を一人で受け止めなきゃならない...。こらえようのない不安を抱えた貞美はホテルで待つ茜を訊ねると、花が咲くような笑顔を向けてくれるこのお嬢さんをつい抱きしめてしまう。「震えているの?」と聞かれ、「意外と奥手だろ、俺」とはぐらかしてみたり。
富良野では事件が起きていた。祖母の代から白鳥家にいて、今は岳(神木隆之介)くんが世話をしている犬の「ほたる」がいなくなったのだ。愛犬の失踪にパニックになる岳をおじいちゃん(緒形拳)は風のガーデンに連れて行く。おじいちゃんは知っていた。ほたるはもう長くないこと。そして、死ぬときにはおばあちゃんの思い出が残る風のガーデンに行くだろうことを。
ルイ(黒木メイサ)の運転で風のガーデンに着くと、おじいちゃんの予想どおりほたるが死んでいた。泣き叫ぶ岳。しかしおじいちゃんは岳にのんびりと紅茶を淹れてやり、暖炉の前でほたるの亡骸を抱えて呆然としている岳にこんなことを言う。
そんなに悲しんじゃいけません。死は誰にでも訪れるんです。ほたるは今頃、亡くなったおばあちゃんと会えて大喜びしてるはずです。風のガーデンにわざわざ来たのは少しでも早くおばあちゃんに会いたいからだったんですよ...
東京に戻ると、貞美は何事もなかったように日常の仕事に戻る。ある日、急患で呼び出されると、そこには先日別の病院で手術を手伝った二神(奥田瑛二)がいた。数日前に黙って病院を飛び出したとは聞いていたが、自分の病院で再会するとは...。
しかも、二神の病気は自分と同じすい臓癌。病状は二神のほうが進んでいる。点滴につながれた二神の姿に、貞美は我が身を見ているような気持ちになっているのだろう。
ガッツ石松が演じる養蜂家・石山がいい。一緒に働いてたパートナーが引退し「どうしたもんか」と思っていたら、息子が「手伝うよ」と帰ってきたと、貞三に話す。騒動ばかり起こす手のつけられない息子で一度は勘当したが、「戻ってきてくれるとなると嬉しいもんだ」としみじみ語る。
もちろんこれは、数年前の「何か」以来、貞美を遠ざけている貞三に「そろそろ許してやったら?」とご提案してるわけなんだが、貞三は「貞美の話はやめてください!」ときっぱり。この穏和な笑顔のおじいちゃんをそこまで怒らせた理由って何なんだろう?