市内で開業医をしている仙道(岸部一徳)の妻、昌江 (水沢アキ) が病院にやってくる。「今までは患者さんに市民病院を紹介できたけど、これからはできなくなっちゃうのか~」と、昌江先生は「今月をもって脳外科専門病院に」という張り紙を見ている。
「そうだ!医療機器見せてもらっていい?」という昌江先生に「じゃあ案内しましょう」と航平(竹野内豊)がついていく。「開業医には設備がないし、設備がある市民病院は閉鎖かあ」と処置室を見学していた昌江だが、しばらくすると声がしなくなる。愛子(菅野美穂)が現れ「昌江先生は?」と言われて「おや?」と航平が探すと昌江は部屋で倒れていた。脳出血だった。
遠藤(緒川たまき)の診察の結果、出血は脳幹に影響していることがわかった。「このままでは意識が戻らず、植物状態になる可能性が...」 突然のことに仙道は動揺。「人工呼吸器をつけないとやがて死に至ることになります」と判断を迫られるがもちろん即答は無理。
そんななか、遠藤が引き抜いてきた脳外科医たちが新しい外科病院に来ないことが決まる。さらに副市長の蓮見(陣内孝則)からは「病院を閉鎖し、リゾート施設に建て替える」との宣告。全て、土地の有力者である代議士の仕業だった。遠藤を雇い入れて病院を解体しておいたところで、遠藤までも欺いてリゾートへの転換とは!
「脳外科病院が実現しない以上、私はここに用はありません」と荷物をまとめる遠藤を航平が引き留める。「あなたは本当はカネだけの為に動く人ではない。患者と向き合える心を持った医師だ。病院の再建の力になってほしい」と。しかし、「勝手な思いこみは迷惑よ」と遠藤の辞意はゆるがない。
昌江の自発呼吸が弱まり、いよいよ呼吸器の助けがなければ生命を維持できなくなった。「呼吸器を着けて!早く!」と仙道のせっぱ詰まった表情に、留守の遠藤に代わって航平がひとまず対応する。が、担当は遠藤なので連絡を取ると、遠藤は別のセレブ脳外科病院にいた。「オペですか?」と受付に電話口で問うと「いえ、お母様のお見舞いにいらしてます」と。ここではじめて航平たちは、遠藤の母が脳外科に入院していることを知る。
市民病院に戻った遠藤に昌江への処置について説明する航平。依然、病院を辞める意志を変えない遠藤に航平と愛子が慰留にかかる。で、愛子が「遠藤先生はお母様を自分の病院に引き取りたくてセレブ病院の実現にこだわられたんですね。お金だけが目当てじゃないんですね」と不躾な発言。これには遠藤もむかついた。「そんなきれいな話じゃない。あなたにはわからないわ。愛される子と名づけられたあなたにはね!」
一方。仙道は迷っていた。実は昌江はリビングウィルを残しており、そこにはっきりと「延命処置はしないでほしい」とあったのだ。しかもその続きとして夫・仙道に宛てて「あなたが望むなら、落ち着くあいだだけ延命処置をしてもいいわよ。あなたの悲しみは私の悲しみ」と書かれていたのだ。
仙道はついに決意する。航平と遠藤を呼んで昌江から残されたリビングウィルのことを話し、「呼吸器を外してください」と頭を下げるのだ。神妙な面もちで呼吸器を停止させる遠藤。それから昌江が尊厳死を迎えるまで、仙道は傍らでじっと妻の死に逝く様を見守っていた。
おせっかいな愛子が、遠藤の母が入院する病院の院長に話を聞きに行くと、遠藤の来歴は悲しいものだった。小さな頃、病弱な父が亡くなるとすぐ、母は娘を置いて失踪。遠藤は親戚を転々としながら、努力に努力を重ねて医者になったのだ。つい最近、行き倒れていた母親が見つかったがすでに手遅れで、遠藤は植物状態になった母をセレブ病院に入院させていた。
遠藤曰く、母を助けたいのではなく、「安らかな死なんて迎えさせるものか!」という憎しみから延命処置をしている。仙道夫妻のような愛は、そこにはない、と。本当なのか? しかし、航平は知っていた。遠藤の母がずっと娘を愛していたことを。
実は、遠藤は母の病院から、母が倒れていたときに持っていた所持品を受け取っていた。憎むべき母の持ち物を遠藤は市民病院のゴミ箱に投げ捨てていたのだが、ひょんなことでその中身に気づいた航平が確認したところ、母親がいつも持っていたがま口の中に、遠藤の国家試験合格記事、気鋭の医師として取り上げられたインタビュー記事が大事に折り畳まれて入っているのを見つけたのだ。娘の成長を遠くから静かに見ていたのだ。
それを知らされた遠藤はようやく自分も愛されていたことに気づき涙を流す。「はじめて患者が何を考えているのか知りたいと思った...」 しかし、時既に遅し。市民病院は閉鎖の日を迎える。もう、航平や愛子、遠藤が共に働く日は来ないのだろうか?