tomorrow 第6回 2008/08/10放送分

|

 今回のテーマはモンスターペイシェント。火曜日にやってる「モンスターペアレント」は教育現場で理不尽な要求をする親をテーマにしてるが、医療現場にもいるのだモンスターが。

 人気恋愛小説作家の二階堂志保(杉田かおる)が、市民病院に初期ガンで入院してきた。女流作家のステレオタイプどおり、この先生も気むずかしく人騒がせ。ただでさえ人手が足りず、食事を取るヒマもない担当ナースの愛子(菅野美穂)を「まぶしいからブラインドを閉めろ」だのやたらとナースコールで呼び出すのだ。

 航平(竹野内豊)の執刀で志保の手術が始まる。初期ガンを取ればそれで済むはずだったが、腹を開けてみると腹膜までガンが広がり手がつけられない状況で、なにもせずに閉腹することになる。

 手術後、航平は志保に「余命3カ月」を告げる。軽いガンと信じ、「チャッチャと手術して取っちゃってよ」と言っていた志保はショックを受け、「こんな病院にくるんじゃなかった!」と八つ当たり。

 自暴自棄になって病室でタバコを吸おうとし、報知器を鳴らして大騒ぎになっても悪びれる様子のない志保に、しかし航平は優しかった。「ナイショですよ」といたずらっぽく笑いながら屋上にある秘密の喫煙ポイントに志保を連れていく。

 志保は航平に少し心を許し、今書いている恋愛小説に自分は納得していない、と語りはじめる。本当に書きたかったのはデビュー作のような作品。しかし、島で生活する人々の普通の暮らしを書いたその小説はあまりに地味で、売れなかったという。「つくづくムダな人生だったわ...」。志保のため息に航平は何か思うところがある様子だ。

 その日、市民病院はいつになく忙しかった。医師もナースもばたばたばたばた。あまりの忙しさに愛子は志保の点滴を圭太 (永田彬) に任せてしまう。それも廊下ですれ違いざまに「頼んだよ~」みたいなかなりいい加減な引き継ぎだったため、点滴に入れる薬の量を聞き違えたまま処置してしまったのだ。

 ようやく仕事が一段落したとき、志保が急変する。昼間は元気だったのに、おかしい...!? 病室に駆けつけた航平と愛子はそこで、点滴の量が間違っていることに気づくのだが、時既に遅し。志保は意識不明に陥ってしまった。

 混乱する病室に志保の担当編集者がやってくる。この男、志保の前では従順な彼氏役を演じているが、影では「二階堂志保の遺作なら内容がどうだって売れるよな。ひひひ」とほくそえんでいるゲスなヤツなのだ。で、航平が素直に「医療ミスの可能性が」と打ち明けると「これは儲けるチャンス」と踏んだのか、早速地元警察に捜査を依頼し脅しにかかる。そして愛子は事情聴取のため、警察に連行されていく。

 遠藤(緒川たまき)も負けじとこの編集者の懐柔を試みる。病院に呼び出しカネを積んで示談に持ち込もうとするのだ。が、編集は「こんな額じゃ話にならない」と突っぱねる。相手はマスコミだ。あることないこと書き立てられては市民病院のダメージになる。いやはややっかいなことになった。

 そんな中、志保の意識が戻る。枕元には入手困難な志保のデビュー作が置かれている。「ここまで私のことを思ってくれたのね。助けてくれてありがとう」と航平に感謝の言葉をかける志保だが、編集者が登場し「何いってんだ!おまえ、この病院に殺されそうになったんだぞ」と医療ミスの経緯を聞くとショックを受け、「私の命と引き替えにこの病院をつぶしてやる!」と態度を豹変させる。まあ無理もない。

 とにかく退院!と急ぐ志保のもとに現れたのは愛子。「どうせムダな人生なら、せめてこの病院を道連れにしてやる!」と鬼の表情の志保に愛子は、まず自分のミスを詫び、そして語りかける。「ムダな人生なんかじゃありません」と。実は志保のデビュー作を古本屋で探し回って見つけたのは愛子だったのだ。そして愛子はこの本を読み、「自分のできることをやればいい」という原点に気づき、看護士として働き続ける勇気をもらったと話す。

 しかも後になって、愛子はぬれぎぬをかぶっただけで、「実が処置を誤ったのは自分です」と圭太が名乗り出たりして、病院全体の誠実さというかおめでたさに、志保はあきれながらもなんとなく絆されていく。

 そして、事務局の仙道(岸部一徳)に車いすを押されて院内を見て回り、医師や看護士の働きぶりに触れるうち、航平や愛子や圭太の誠実さが本物であることを感じはじめた志保は落ち着きを取り戻していく。そして、「1人でも読んでくれる人のために書く」という彼女自身の原点を思い出した。「死ぬ前に思い出せてよかった」と微笑む志保の表情は柔らかかった。

 そして。月日が流れ、病院の事務局で航平と愛子はテレビに写る志保の姿を見ていた。志保の最新作の舞台は医療現場。すれ違う医師と患者の思いを描きながら、志保は「今必要なのは医師と患者が歩み寄ること」と訴えている。そして画面はアナウンサーに切り替わり告げる。「これが二階堂さんの最後の映像となりました。ご冥福をお祈りします」と。

 志保は遺作を、最後まで治療に関わってくれた市民病院に捧げていた。