成田空港からやけにガタイのいい女性患者が搬送されてきた。名前は...大山恒夫!バンコクで性転換手術を受けて帰国したばかりの男だったのだ。術後の絶食期間というのに空腹に耐えられず機内食を食べたところ腸閉塞を起したらしい。
白石(新垣結衣)が担当になるが、「シュッとした顔しちゃって!」と大山ちゃんはお嬢タイプの白石に辛くあたる。「大山さん...」と声をかけると「メリージェーン陽子よっ!」と抵抗するし、「とにかくカツラを返して!」とやかましい。あー面倒くさい。
世話の焼ける患者の処置を終えた白石が遭遇したのは車椅子に乗った田沢さん(平山広行)とその母。「冴島さんは...」と、どうやらナースの冴島の知り合いらしく白石は「呼んで来ます」と対応。しかし冴島(比嘉愛未)は「田沢」という名前を聞くなり表情を曇らせる。
ドクターヘリの出動要請。裁判中に男性が突然倒れたということで、緋山(戸田恵梨香)が森本(勝村政信)と現場に向う。と、そこにはなぜか三井(りょう)の姿。実は、男性は医療ミスで三井を訴えていた真壁(阿南健治)で、三井は尋問のために法廷にいて、自分を訴えている真壁に応急処置を施していたのだ。
真壁は食道破裂を起しており、三井の的確な処置がなければ命の危険もあった。それを緋山から聞かされた真壁は、妻と子を自分から奪った敵に救われた事実に混乱する。
三井はセンター長室で田所(児玉清)や弁護士に頭を下げていた。あれほど「こちらに責任はない」と突っぱねるよう弁護士から言われてのに、今日の法廷で「自分が悪かった」と発言していたからだ。弁護士は頭をかかえている。
三井は真壁の病室へ。「何で急に非を認めたんだ」と問われ、三井はあの日の出来事を語る。冷静に考えれば赤ちゃんの命は諦め、母体を優先すべきだった。しかし、あの日自分は医師であることを忘れ女として、母としての私情に囚われた結果、二つの命を失った。あの日は9月14日だった。ちょうど1年前、自分も難産で子どもを生んだ。だから「赤ちゃんを助けて」という母親の訴えを聞き流すことができなかったのだ、と。
呆然とする真壁。緋山が回診に来ると、「三井先生はいい先生なんだろうな」と遠い目。「でも誰かを恨まなきゃ、やってられないんだ...」とつぶやく真壁。
メリージェーンがまたやらかす。あれだけ「食べちゃダメ!」と言ったのに売店でケーキをホール喰いしたのだ。理由は「彼氏にフラれたから」。性転換手術の後、彼氏に逃げられるケースは多いが「この人だけは裏切らない」と思うものらしい。「なんで?」と不思議顔の白石にメリージェーン(ヒゲ面)は「それが恋ってもんじゃな~い」と答える。この人、不幸なんだか幸せなんだか...。
てなわけで、大山ちゃんは腸閉塞の緊急オペ。執刀は三井と田所センター長だ。難なく手術を終え、センター長は三井に声をかける。「私は長らく離島医療をしていた。皆が嫌がる仕事をありがとう。先生に会えてよかった、と感謝された。が、本当は少しのミスも許されない大学病院の医療現場から逃げ出しただけ。三井先生は逃げずに闘っている。あなたに会えてよかった、という患者さんは必ずいますよ」。三井、こらえきれず泣く。
さて。冴島を待っていた田沢さんが階段から落ちてしまう。処置にあたる黒田(柳葉敏郎)にフォローに入った冴島は既往症をスラスラと説明する。田沢は冴島の彼氏だったのだ。難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症しており、自殺を図った経緯がある。冴島が以前、「恋人は死にました」と言っていたが...
軽症ですんだものの、田沢は一時入院する。同じ部屋に往診に来ていた藍沢(山下智久)は二人の会話を聞いてしまう。「迷惑かけてごめん」「...悪いのは私。会いにいかなかったのは会うのが負担だったから。私は24時間、あなたのために使えない...」「わかってた。でも君を傷つけても、死ぬ前にもう一度会って、僕が生きた証を君に刻みたかった。辛くても忘れないでほしかった...」
梶(寺島進)が整備をするヘリポートへ冴島が「備品の補給をしたい」と現れる。何かを悟った梶に「いいよ」と許可を得て、一人ヘリに入る冴島。と、そこにヘリ業務で使ったまま聴診器を置き忘れた藍沢が。「恋人の病気から逃げ出した私にヘリに乗る資格はあるのかしら...」と思いつめた冴島に藍沢は「自分が一番大事。オレだってそう」と答える。「でも」と藍沢。「ときどき何のためにやってるのかわからなくなる」...冴島がこらえきれず泣き出すと、藍沢は静かにヘリをあとにする。
藍沢が向ったのは祖母・絹江(島かおり)の病室。藤川(浅利陽介)が担当してくれていたのだがなかなか食事を食べてくれない、というので任務を交代したのだ。同僚はみな絹江と藍沢のことを心配してくれるのだが、「たまにはおばあちゃんのとこに行ってやれよ」と小言がうるさい。藍沢にとってはオペを積んで一日も早くトップになることがばあちゃんへの恩返しなのだ(確かに逃げも少々)。
で、食事の載ったトレーをばあちゃんに差し出し、箸を持たせるが、ばあちゃんは箸を投げ、なんと手で食べ始めた。うへぇ! しかし藍沢はひるまず、ばあちゃんの傍らに座ると同じように手でおかずをつまむ。それを見て嬉しそうなばあちゃんは「あなた、お医者さんね。孫と一緒だわ」とにっこり。藍沢は一体どんな気持ちなのだろうなあ。
ちなみにメリージェーンと白石はなんとなく仲良しになりました。